たまるちゃん
上場日に売っておけば良かったのかなあ?
シンジケートカバー取引があるからのう。
デザイナーズ
- IPO(Initial Public Offering)の仕組み
- オーバーアロットメントによる売り出しの仕組み
- シンジケートカバー取引の仕組み
- グリーンイシューオプションの仕組み
記事の信頼性

デザイナーズ(@designers_kinyu)
- 現役の金融機関営業員
スタートアップ企業・VC担当 - 豊富な金融営業経験
リテール6年半・ホールセール5年以上 - トップセールス
リテール最高年収:2,200万円
このブログを書いているデザイナーズは、現役の金融機関営業員です。
リテールではトップセールスで、最高年収は2,200万円でした。
現在はホールセールに引き上げてもらい、スタートアップ企業やVCを中心に100億円規模の取引をしています。
それでは記事の本編に入ります。
CONTENTS
IPO(Initial Public Offering)の仕組み
株式の新規(Initial)公開(Public Offering)です。
既存株式の追加の公開の場合はInitialをとってPublic Offering(PO)と言います。
株式公開の方法
株式公開には募集と売出があります。
募集の場合は会社にお金が入り、売出の場合は売却人にお金が入ります。
- 募集:新しく作った株式を販売すること
- 売り出し:特定の株主が保有している株式を販売すること
株式の希薄化
募集の場合、株式の希薄化がおこります。
株式の希薄化とは、株式発行企業の利益を分け合う人が増えることを言います。
希薄化が怒る理由は利益を生み出すまでの時間解離
企業は募集で資金を調達しても、資金が利益を生み出すまでに時間がかかります。
資金が利益を生み出すまでは、今までの利益を募集株式を買った株主含めて分け合うことになります。
1株主あたりの利益が減ります。
不動産投資信託(J-REIT)は希薄化が起こらない
例外は不動産投資信託(J-REIT)の募集です。
不動産投資信託の場合は募集を行うと同時に物件の取得が行われます。
不動産は買った瞬間から利回りが発生するので、希薄化が起こりません。
しかし、不動産投資信託が募集を行なった場合でも投資口価格が下落することがあります。
需給悪化など、希薄化と別の理由で下落します。
募集で買った人がすぐ売却することで下落することが多いです。
IPOで覚えたいキーワード3つ
- オーバーアロットメントによる売り出し
- シンジケートカバー取引
- グリーンイシューオプション
オーバーアロットメントによる売り出し
公開予定株式の需要が高い場合、公開予定株式の15%を上限として出来る追加的な売り出しです。
追加的な売り出しをするための株式の調達は、既存の株主と契約を結ぶことによって行います。
「オーバーアロットメントによる売り出しをする場合は●●株借りたいから、その時はよろしくね。●月●日までには返します。」という契約を事前に結びます。
オーバーアロットメントによる売り出し分の株式を販売すると、追加売り出し分の収益も証券会社に入ります。
オーバーアロットメントによる売り出しをしない場合、需要が低いことが想定されます。
オーバーアロットメントによる売り出しをしないことは、イメージが悪いので避けられることが多いです。
需要が低くても、証券会社はオーバーアロットメントによる売り出しをしたがります。
シンジケートカバー取引


オーバーアロットメントによる売り出しで無くなった株式の調達方法の1つが、シンジケートカバー取引です。
シンジケートカバー取引は市場買い付けで株式を調達する方法です。
シンジケートカバー取引には株価下支え効果があります。
ソフトバンクIPOを例に考える
- 公開価格:1,500円:投資家が買う価格
- 引受価格:1,463.75円:証券会社が売出人から買う価格
- 引受手数料:36.25円:1,500円 − 1,463.75円
引受証券会社はソフトバンク株式を投資家に1,500円で販売しています。
通常の売出分の引受手数料が36.25円です。
市場で1,463.75円以下で株式を調達できた場合、引受手数料分以上の売買収入が発生します。
上場日の寄り付きに1,463円に大きな指値買いがありました。
この大きな指値買い注文は、引受証券会社によるシンジケートカバー取引である可能性が高いです。
ソフトバンクIPOのオーバーアロットメントによる売り出し株は、普通売出株式の10%です。
普通売出株式の10%が寄り付きに売りで集中しても、シンジケートカバーを同じ10%入れておけば初値は1,463円になります。
グリーンイシューオプション
グリーンイシューオプションは、引受価格よりも初値が高い場合に使われるオプションです。
オーバーアロットメントによる売り出しを行い、シンジケートカバー取引をを行わない場合に使われます。
グリーンイシューオプションは、引受証券会社が株式を貸してくれた人に対して持っている「権利」です。
引受証券会社が有利な立場(権利を行使できる立場)、株式を貸してくれた人が不利な立場(権利を行使される立場)にあります。
初値が引受価格より高かった場合、引受証券会社は株式の貸し手から買い取ることができます。
この場合、引受証券会社はシンジケートカバー取引をする必要がなくなります。
初値で株式を買う人がいなくなるから、株価の上昇が抑えられます。
株価の上昇は嬉しいことですが、株価の安定も重要です。
このことからグリーンイシューオプションが使われます。
何かをする「権利」です。
2人の当事者がいた場合、片方が権利を行使する側で、もう片方は権利を行使される側になります。
片方が有利、もう片方がは不利な状況が常にあります。
オプションはお金で売買されます。
まとめ
- オーバーアロットメントによる売り出し
- シンジケートカバー取引
- グリーンイシューオプション
初値は3つの特殊な取引がある関係上安定します。
需要の少なかったIPOは初値で売却することが正解です。
- オーバーアロットメントによる売り出しをするかしないかで、需給による株価調整
- 初値が低い場合:シンジケートカバー取引で下支え
- 初値が高い場合:グリーンイシューオプション行使で完結