たまるちゃん
「メガバンク3行で3万人分の業務削減」という記事を見たよ。
私の仕事もフィンテックで無くなるのかな?
「インフラ」業務に携わっている人は配置転換(リストラ)されるぞ。
「個人営業」は安泰じゃ!
デザイナーズ
- フィンテック(FinTech)について
- フィンテックで無くなるのは「インフラ」業務だけ
記事の信頼性

デザイナーズ(@designers_kinyu)
- 現役の金融機関営業員
スタートアップ企業・VC担当 - 豊富な金融営業経験
リテール6年半・ホールセール5年以上 - トップセールス
リテール最高年収:2,200万円
このブログを書いているデザイナーズは、現役の金融機関営業員です。
リテールではトップセールスで、最高年収は2,200万円でした。
現在はホールセールに引き上げてもらい、スタートアップ企業やVCを中心に100億円規模の取引をしています。


それでは記事の本編に入ります。
CONTENTS
フィンテック(FinTech)について
- 金融(Finance)
- 情報技術(Technology)
を組み合わせた造語です。
リーマンショック後機能低下した金融機関に代わり、シリコンバレー初のベンチャー企業が行う金融仲介業が注目を集めました。
その企業に対して「フィンテック」と言う言葉を使い始めたのがスタートです。
フィンテックは日銀が進める国策
フィンテックは日銀が進めている国策です。
2016年4月1日に、日銀内に「FinTechセンター」が設立されました。
民間企業と対話をしつつ、日本国内でのフィンテック推進に尽力しています。
参考 FinTechセンター日本銀行
フィンテックの意味は広い
NRI金融ITフォーラムで、FinTechセンターが使用したプレゼン資料です。
伝統的な金融機関に代わる業務を行なっている企業は、全て「フィンテック企業」です。
参考 銀行の情報システムの将来像〜FinTechが示唆する未来〜日本銀行
代表的なフィンテック業務は「決済」と「送金」
- 決済(Payment)
- 送金(Remittances)
が日本のフィンテックにける代表的な業務です。
LINE PAYやPayPayは「決済」と「送金」どちらもサービス提供しています。
「決済」「送金」サービスを提供するフィンテック企業は増加中です。
「決済」「送金」は銀行だけのものでは無くなりました。
代表的なフィンテック企業は「JR東日本」
意外ですが、JR東日本もフィンテック企業です。
Suicaが有名です。
Suica発行枚数は7,000万枚弱
JR東日本発行の電子マネー「Suica」の発行枚数は2018年3月時点で7,000万枚弱です。
人口の半分が持っています。
参考 SuicaJR東日本
JR東日本が預かっているSuicaチャージは1050億円
7,000万枚 × 1,500円 = 1,050億円
Suicaのデポジットは500円。
平均的なチャージ金額を控えめに1,000円と考えました。
JR東日本はSuica1枚あたり、1,500円のお金を無利子で預かっていることになります。
電子マネーはチャージ金額の1/2以上の供託が義務付けられている
電子マネーは資金決済法の対象になっているため、チャージ金額の1/2以上に相当する発行補償金の供託が義務付けられています。
逆に考えると、半分は使ってOKです。
フィンテックで無くなるのは「インフラ」業務だけ
フィンテックとは、伝統的な金融機関の業務をITの力によって変化させていくことです。
伝統的な金融機関の業務というのは、現在の金融機関の業務ほぼ全てです。
しかし、最終的にフィンテックの影響を受けるのは、「インフラ」業務だけです。
インフラ業務とは「日銀ネット」関連業務
生活する上でのお金(現金・有価証券)が絡む決済には全て日銀が絡んでいます。
日本円を発行しているのが日銀だから当然と言えば当然です。
その決済システム全般を「日銀ネット」と言います。
外部のネットワークから遮断されており、情報転送量が少ない信頼性が高いシステムです。
これをオープンに(外部のネットワークに接続)し、IT化を進めていこうと日銀は考えています。
日銀ネットは戦後から存在します。
決済にも多くの種類があることがわかります。
「インフラ」業務の比重は銀行が著しく大きい
「資金決済」には銀行が、「証券決済」には証券会社が大きく関わっています。
「資金決済」は銀行の主要な業務
料金収納・振込・ATMなどの資金決済は銀行の主要な業務です。
決済手数料は銀行の安定的な収入源です。
フィンテックにより資金決済のための人員・設備共に不要になる可能性が高いです。
その理由もあり、メガバンク3行で3万人の人員削減を計画しています。
「証券決済」は証券会社の付随的な業務
証券会社の主要な業務は「有価証券の販売」です。
その販売手数料を中心に、証券会社の経営は成り立っています。
銀行と違い、決済手数料を収入源とはしていません。
フィンテックによる人員・設備への影響は少ないでしょう。
「インフラ」業務以外はフィンテックによるメリットが乏しい
フィンテックにより金融機関の伝統的な業務がIT化され、人員・設備が削減されます。
しかし「インフラ」業務以外は大きな影響を受けません。
オンライン証券会社が台頭しても、対面証券会社は影響を受けなかった
1998年に松井証券が、初めてネット証券をスタートしました。
その後1999年に金融ビッグバンによる手数料自由化に伴い、手数料が平均1/7ほどに引き下げられました。
対面証券会社は軒並み潰れると言われましたが、影響は軽微でした。
対面証券会社における顧客のニーズは「低い手数料率」や「ネットでの容易な発注システム」ではありませんでした。
顧客のニーズは「信頼感」でした。
「よく訪問してくれる」「丁寧に対応してくれる」、こういう点を顧客は重視します。
個人営業はフィンテックで取って代わることは出来ません。
富裕層は自分で0から調べて申し込むことはほとんどしません。
経営者であることが多く、常に決断の連続です。
持ち込まれた案件に○×をつけることが習慣化しています。
対面営業のための営業員は今後も必要です。
デザイナーズの顧客である資産1,000億円の経営者も、持ち込まれた提案の中から投資対象を選定します。


ロボアドバイザーは流行らない
口座開設件数は伸びると思いますが、金額は伸びません。
ネット証券スタート時の時と同じで、「信頼感」が足りません。
スマホ世代の20代〜30代では伸びるかもしれません。
しかし、お金を持っている70歳前後では流行らないでしょう。
「FOLIO」や「THEO」など、スマホで簡単に投資をできるツールが伸びてきています。
VC(ベンチャーキャピタル)も複数投資をしており、注目を集めています。
まとめ
フィンテックで無くなるのは、金融機関の「インフラ業務」です。
主に資金決済業務が痛手を受けます。
メガバンク3行で3万人の人員削減・設備削減が考えられています。
「個人営業」の分野においてはフィンテックの影響は軽微です。
今後「個人営業」に人員が再配分されるため、競争は激化するでしょう。